飇風ひょうふう)” の例文
が、荷風先生の推挙があつてから間もなく、「三田文学」へ「飇風ひょうふう」を書いた時は、黙つてゐてもちやんと先方から稿料を届けて寄越した。
青春物語:02 青春物語 (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
タッタ一つ恩人の顔だけを見て死にたいと憧憬あくがれ願っている……その超自然的な感情が裏書きする戦争の暴風的破壊が……秒速数百米突メートルの鉄と火の颶風ぐふう、旋風、飇風ひょうふう
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
今、一陣の飇風ひょうふうが、王岳の、頂きから吹き下して来た。山のふもとを落葉松林が、まず真っ先に動揺した。それに続いた杉の林が、間もなくヒューヒューと呻き声を上げた。と、枯草の丘があった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)