須臾すゆ)” の例文
されども浪子は父の訓戒いましめここぞと、われをおさえて何も家風に従わんと決心のほぞを固めつ。その決心を試むる機会は須臾すゆに来たりぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
須臾すゆもあらせずぐつと重く、カイヅやボラのやうに頭が強くないから、綸糸もしなやかに重く、ぬつと這入つて、すうとそれ、ぐぐとためてゐると、すぐ水面へふうと出る
魚美人 (新字旧仮名) / 佐藤惣之助(著)
其の紅粉は俳優の舞台に出るが如く其帯は遊女の襠裲しかけの如く其羽織は芸者の長襦袢よりもハデなり。夜店の蒔絵九谷と相映じて現代的絢爛の色彩下手な油画の如し。杖に倚って佇立たたづむ事須臾すゆなり。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)