阿武隈川あぶくまがわ)” の例文
あの晩は長老の呉服屋さんの家に泊って、翌朝あくるあさ阿武隈川あぶくまがわを見に行って、それから汽車で仙台へ帰てみると、君が来ていた……
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼は阿武隈川あぶくまがわほとりで送った自分の幼少ちいさい時を考えた。学生時代を考えた。岩沼にある自分の生れた旧い家を考えた。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
梨畑なしばたけやぶどう畑の見られる仙台郊外を土樋どひというほうまで歩き回ったり、あるいは阿武隈川あぶくまがわの流れるところまで行ってみたりしたような、そんな静かな心は持てなかったのです。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ここは阿武隈川あぶくまがわへもそう遠くなく、一里ばかり行けば太平洋の岸へも出られて、歩き回る場所に事を欠きません。まあ、仙台へ着いたその晩から、思わずわたしはホッとしましたよ。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)