闃寂しんかん)” の例文
急に周囲そこいら闃寂しんかんとして来た。寺院おてらのように人気ひとけが無かった。お種は炉辺ろばたに坐ってひとりで静かに留守居をした。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
其時は男盛りの漁夫れふしと船頭親子と一緒だつた。鰹の取れる頃には、其邊は人で埋まるとか、其日は闃寂しんかんとしたもので、蝦網などが干してあつて、二三の隱居が暢氣に網を補綴つくろつて居た。
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)