長羅宇ながラウ)” の例文
小しまは大阪格子を後にしたる上框あがりかまちへ腰をかけ、散らばつた『都新聞みやこしんぶん』の間より真鍮しんちゅう長羅宇ながラウ取り上げながら、兄さん、パイレートの絵はたまつたかへ。貰ひに来たんだよ。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
桜紙さくらがみにて長羅宇ながラウを掃除するは娼妓しょうぎの特技にして素人しろうとに用なく、後門こうもん賄賂わいろをすすむるは御用商人の呼吸にして聖人君子の知らざる所。豆腐々々と呼んで天秤棒てんびんぼうかつぐには肩より先に腰の工合ぐあい肝腎かんじんなり。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)