鉱石かないし)” の例文
旧字:鑛石
しかるをにわかに今日になり、天晴れ設計図は作りながら、肝腎の鉱石かないしが地の底に、あるかないか疑わしいなどと、曖昧あいまいなことを仰せらるる。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
弓掛の部落をさえぎっている蛇骨峠じゃこつとうげを一つ越すと、天蓋山の鉱山で、昼夜分かたず噴煙が硫気を含んで立ち昇り、熔鉱炉の煮える音、鉱石かないしを砕くつちの音
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しからば何故お薦め致したか? それは他でもござりませぬ。生命いのちなき鉱石かないしを掘り出して生命ある人間の役に立つるは、天意にかないし善事であると、かように思ったからでござる。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)