金穀きんこく)” の例文
大将のほうもよく心得ていて、過分な金穀きんこくで忠誠の精神を買付ける。わずかの軍功に目をむくほどの褒美を投げだしてみせる。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
将軍家に慶事があったのなら、罪人を放ち金穀きんこくを施与するのが当然ではないか、去定はそう云いたかったのだ。
一、官に学校を立つれば、金穀きんこくに差支えなくして、書籍器械の買入はもちろん、教師へも十分に給料をあたうべきがゆえに、教師も安んじて業につき、貧書生も学費をはぶき、書籍に不自由なし。
にもかかわらず、上にある人々は、その点を反省することなく、依然として小人奸者しょうじんかんじゃに大切な政治を任せ、ただただ下民を悩ませ、金穀きんこくを取立てる手段ばかり講じている、とか。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
しこうしてその政権はもとより上士にすることなれば、上士と下士と対するときは、藩法、常に上士に便にして下士に不便ならざるを得ずといえども、金穀きんこく会計のことにいたりては上士の短所なるを以て
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)