金唐革きんからかは)” の例文
蝋塗りに螺鈿らでんを散らした、見事なさやがそこに落散つて、外に男持の煙草入たばこいれが一つ、金唐革きんからかはかますに、その頃壓倒的に流行つた一閑張いつかんばりの筒。
堆朱つゐしゆの如き、螺鈿らでんの如き、金唐革きんからかはの如き、七宝の如き、陶器の如き、乃至ないし竹刻たけぼり金石刻きんせきぼりの如き、種々雑多な芸術品の特色を自由自在に捉へてゐる。
竜村平蔵氏の芸術 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「親分の前だが、泥棒が金唐革きんからかはの飛切上等の懷中煙草入れを忘れて行くといふ法はねえ。おまけに煙管は銀だ。あれは安くちや買へませんぜ」
銭形平次捕物控:050 碁敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
金唐革きんからかはの煙草入れは碁會所で手に入れて、馬場要へ罪をかぶせる細工さ。あの晩河内屋へ忍び込んだが、何かの都合で喜太郎を
銭形平次捕物控:050 碁敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
平次は昨夜染吉の死骸から持つて來た、金唐革きんからかはの煙草入を出して、中から二枚の小判をつまみ上げます。
主人の又兵衞は、立上つて次の間から、泥棒の置いて行つた金唐革きんからかはの煙草入れを持つて來ました。
銭形平次捕物控:050 碁敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「何んだ懷中煙草入ぢやないか——金唐革きんからかはの贅澤なものだな。煙管は銀ののべか、おや/\滅茶滅茶につぶされてゐる、これぢや煙も通るまいよ。——誰のだい、こいつは?」
死體の側から拾ひ上げたのは、金唐革きんからかは洒落しやれた懷煙草入れが一つ。