重瞳ちょうどう)” の例文
あたかも可し、さる必用を要する渠がまなこは、世に有数の異相と称せらるる重瞳ちょうどうである。ただし一双ともにそうではない、左一つひとみかさなっている。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
貴様がねて聞いた伊達藤次郎か、おぬしが予ねて聞いた木下藤吉か、と互に面を見合せて重瞳ちょうどうと隻眼と相射った時、ウム、面白そうな奴、話せそうな奴、と相愛したことは疑無い。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「うむ、」といって、重瞳ちょうどう異相の悪少は眠くないその左の目をこすった。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)