醗酵はつかう)” の例文
何處からと無くなまぐさいやうなどぶ泥臭どろくさいやうな一種いやな臭が通ツて來てかすかに鼻をつ……風早學士は、此の臭を人間の生活が醗酵はつかうする惡臭だと謂ツてゐた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
街から醗酵はつかうする特殊な臭ひは聯想作用を起して、彼の胸に種々な過去の情景を浮びあがらせ、彼はそれに簡単に陶酔して了つてゐたので、その尖つてゐる眼もいつに似ず柔和に光り
釜ヶ崎 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)