那古屋なごや)” の例文
その年の四月、信長は、一族の織田彦五郎おだひこごろうと乱をかもして、彼の居城、清洲きよすを攻め、占領後、那古屋なごやから清洲城へ移った。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
瀬戸せとの職人たちだの、那古屋なごや清洲きよすのとくい先の家族だの、武家だの、親類先のまた知りあいの者だのと——ずいぶんな客が夕方からぞろぞろ集まった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すでに朝から二刻ふたときほども、烈しい教練をやったので、信長は、那古屋なごやの城へ人数を向け、自身もその中の一騎となって、庄内川しょうないがわの河原から引き揚げて来た。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
尾州の清洲きよす那古屋なごやあたりとは、街の色や往来の風俗からしてまるで違っていた。道行く者の足の早さ、眼のつかいよう、言語の調子からして違うのである。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朝廷から御嘉賞ごかしょうの勅使が、那古屋なごやへ下ってみると、信秀はその頃ちょうど美濃攻めの激戦に大敗して、わずか数騎と、身をもってのがれ帰って来たというような——惨憺たる悲境の際だったのである。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)