通鑑つがん)” の例文
(若殿。通鑑つがんは、二百七十三巻の大冊だいさつ。あなた様は、あれ以上なものをご編纂になるお考えですか)
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
至る所の州郡守令出迎えて上舎に館する者あり、清州の牧使権和、その渠首きょしゅ五人を捕斬しようやくしずまったという(『東国通鑑つがん』五一)、当時高麗人日本を畏るるに乗じ
そういう中に置いて見ると、さすがは伏見屋の三郎と梅屋の益穂との進み方は目立った。この二人ふたりはすでに漢籍も『通鑑つがん』を読む。いつのまにか少年期から青年期に移る年ごろにも達している。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「『通鑑つがん』だ。」と唖々子は答えた。
梅雨晴 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
東洋では『通鑑つがん』に後漢の高祖が毒蛇を集めた水中に罪人を投じ水獄と名づけた。また仏経地獄の呵責を述ぶる内に罪人蛇に咬まるる例多きは、インドにも実際蛇刑があったに基づくであろう。