逍遙そぞろあるき)” の例文
万事に甘い乳母を相手の生活くらしは千代子に自由の時を与えたので、二人夕ぐれの逍遙そぞろあるきなど、深き悲痛かなしみを包んだ私にとってはこの上なく恨めしいことであった。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
この露月の、萎れ屈している逍遙そぞろあるきに、満更まんざら理由のないわけでもありませぬ。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
そこらあたりを逍遙そぞろあるきしておって、何の気なしに、ふと己の居間のほうを見ると、壮いきれい女子おなごがいて、寝床の蚊帳を釣っておる、其の繊細きゃしゃな白い手が、行灯の光に浮彫のようになって見えると
人面瘡物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)