軍鶏屋しゃもや)” の例文
酒は強い方だったが、山下の軍鶏屋しゃもやで二、三のおろしさきの番頭たちと、空腹へだらしなく流し込んだので送り出された時にはもういい加減に廻っていた。
「一羽でよせばよかったのを、もう一羽と長追いをしたのが運の尽きだ。おれは軍鶏屋しゃもやの廻し者じゃあねえ、そこら中の鶏を取って歩くものか。ばかばかしい」
半七捕物帳:23 鬼娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
軍鶏屋しゃもやをはじめたのがいけなくなって氷店になったのだった。道楽ものの兄が二人いたが、その一人と母親とが伝染うつって、二、三日のうちに三人もいなくなってしまった。
宵に軍鶏屋しゃもやを出たときの勇気と大胆とは、今の林之助の頭からは吹き消したように消え失せていた。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
お絹の家にいる時にたびたび食いに行ったことがあるので、林之助は近所の軍鶏屋しゃもやへはいった。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「おまえさんも御承知でしょう、軍鶏屋しゃもやの鳥亀のかみさん……。あの人に逢いましたよ」
半七捕物帳:51 大森の鶏 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)