蹉跎さだ)” の例文
蹉跎さだノ森にいた薩軍の陣屋で、そのとき、喇叭らっぱの音がきこえた。急に集合の令でも下ったのでか、烏賊帽子いかぼうしの薩兵たちは
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宿昔青雲の志、蹉跎さだたり白髪の年といふが、自分の如き凡人は半生に至らずして既に見すぼらしく貧苦にやつれ日夕諦らめに馴れた心を無二の友としてゐる。
盗まれた手紙の話 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
土佐の西南端のかしわ島、沖の島へも行き、また土佐の西の岬と称する足摺岬(蹉跎さだの岬)へも行った。
若き日の思い出 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)