賈人あきうど)” の例文
提香爐ひさげかうろを打ち振りても、街にありて、叫ぶ賈人あきうどとゞろく車の間に立ちても、聖母の像と靈水盛りたる瓶の下なる、ちさ臥床ふしどの中にありても、たゞ詩をおもふより外あらざりき。
剥栗むきぐり並べたる釜の下よりは、火燄立昇りたり。賈人あきうどの物いひかはす聲の高きは、伊太利ことば知らぬ旅人聞かば、命をも顧みざる爭とやおもふらむ。魚賣る女の店の前にて、母上識る人に逢ひ給ひぬ。