讃仰さんごう)” の例文
壇の四方を取巻く群衆信徒は、その数何千とも知れません。賽銭の雨を降らせながらドッと声を併せて東海坊の修法を讃仰さんごうするのでした。
最初の口火を切った駒井甚三郎の影は、この勇者の前に隠されて、一人もそれを讃仰さんごうするものはないのです。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
月日が過ぎれば過ぎるほど昔を恋しく思ったりすることは何にもならぬむだなことであると情けなく姫君は思い、阿弥陀仏あみだぶつ讃仰さんごうすることに紛らせ、平生よりも物数を言わずにいた。
源氏物語:56 夢の浮橋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
山にあふれる善男善女は、ただもう「あれよあれよ」と言うばかり、今は尊い修験者に対する讃仰さんごうの夢もめて、さながらのあたりに地獄変相図を見るの心地。