許婚者いいなずけ)” の例文
「それならいいさ」と竜右衛門が云った、「おまえには安永つなという、許婚者いいなずけがいるんだからな、ほかの娘なんか好きになっても、母さんが承知しないぞ」
女は同じ物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
サン・トゥースタッシュはマリーの許婚者いいなずけで、その下宿に寄宿し、食事もそこでとっていた。彼は夕方、許婚者を迎えに行って一緒に家へ連れて帰ることになっていた。
「ひっこんでいろうたア、こっちで言いてえこった。お美夜ちゃんはあっしの許婚者いいなずけなんだ。そのあっしに一ごんの挨拶もなく、おむけえの駕籠が聞いてあきれらア。さっさと消えやがれ!」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「安永つなさんという許婚者いいなずけがあるのに、女は嫌いだと云って、いまだに結婚しようとはしません、これはわたくしたちがあまり堅苦しく育てたからだと思います」
女は同じ物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「——だっておせんは十四の時からあなたの許婚者いいなずけだったのですもの、いちどは嫁になって来さえしたのですもの、そしておせんは今たった一人の頼りない身の上なのですもの」
おれの許婚者いいなずけまで横取りしたんだ、許婚者のほうはまだこれからだろうが、うわさによると祝言の日取まできまってるらしいからな、大きな面あしちゃあいけねえ、さもねえと高いものにつくぜ
霜柱 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)