“袖摺(そでず)” の例文
秋の山は静(しずか)に、その人たちの袖摺(そでず)れに、草のさらさらと鳴るのが聞こえて、釜底帽子の親仁も、若い娘たちも、もう山懐に深かった。
渋蛇目傘(しぶじゃのめ)を開いたままで、袖摺(そでず)れに引着けた、またその袖にも、霏々(ひひ)と降りかかって、見る見る鬢(びん)のおくれ毛に、白い羽子(はね)が、ちらりと来て、とまって消えては、ちらりと来て、消えては、飛ぶ。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)