あやま)” の例文
「だが、女のために大儀をあやまる」と、勘平はまたごろりと横になりながら言った。「考えてみると、気の毒なものじゃね。こうしてだんだんもみぬかとがり分けられるんだよ」
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
そうだ、この可厭いやな気持からまぬかれるためには、やっぱりあの女に逢いに行くほかない。なに、庄左衛門は女のために大義をあやまったかもしれないが、俺の怖ろしいものは別にある。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
そして、安兵衛と勘平の後に喰っついてさえいれば間違いはない、大義をあやまるような恐れは断じてない。そう思って、彼は一日じゅう宿に引籠っていた。そして、その日は何事もなく過ぎた。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)