蛸薬師たこやくし)” の例文
伯父の留守の時で、主婦のお雪さんに言ひつかつて、西洞院蛸薬師たこやくしの親類まで、夜具か何かの入つた大きな風呂敷包を持つて行かされたのだつた。
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
爺さんは蛸薬師たこやくしも知らず、玩具おもちやにも興味がないと見えて、始めのうちは只はい/\と返事丈してゐたが、旅順以後急に同情を催ふして、それは大いに気の毒だと云ひ出した。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
水天宮さまのが一枚、蛸薬師たこやくしのが一枚、浅草観音のが一枚、お祖師さまのが一枚。どれももったいなや、お守り札なのです。——これもまた考えようによってははなはだ重要なネタの一つでした。
右門捕物帖:30 闇男 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
子供の玩具おもちゃはやっぱり広島より京都のほうが安くっていいものがある。京都でちょっと用があって降りたついでに、蛸薬師たこやくしのそばで玩具を買って来た。久しぶりで国へ帰って子供に会うのはうれしい。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)