虚無的きょむてき)” の例文
しかし、すぐそのあとにかれの心をおそったものは、めいるようなさびしさであり、虚無的きょむてき自嘲じちょうであった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
刹那主義せつなしゅぎ虚無的きょむてきで、そしてびらんした諸〻の人間くさい刺戟と誘惑が、あくどい灯をつらねていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
右近は、虚無的きょむてきな蒼い顔に筋ひとつ動かさず、床の間を背に、生えたように立っている。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)