蓬頭垢面ほうとうくめん)” の例文
その身なりも名和一族のきらびやかにひきかえて、彼は島以来の荒海藻あらめにひとしい囚衣のままだし、もとよりかむりはいただかず、蓬頭垢面ほうとうくめんそのものだった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蓬頭垢面ほうとうくめん襤褸らんるを身に包み、妻子なく、家産なく、たゞ一ヶの大桶おほをけをコロガシ歩いて、飄遊へういう風の如く、其処そこの花蔭、此処ここの樹下と、一夜一夜の宿りも定まらず。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
文字どおりな蓬頭垢面ほうとうくめんを持った彼が、約ふた月ほど後、山から里へ下りて来た。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)