蓋然がいぜん)” の例文
しかしA村のおいがK市の姉すなわち彼の伯母おばのために状袋のあて名を書いてやったという事もずいぶん可能で蓋然がいぜんであるように思われた。
球根 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
あるいは学術上の言葉で言えば蓋然がいぜんの計算、によらなければ、たやすく完全に抑えつけることができない。
これがつまり蓋然がいぜんの法則の応用なのです。しからばこの男は、殺害の際、どんなことを考えるであろうか。
墓地の殺人 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
あるいはまた蓋然がいぜんと称する等の別あるは、事実そのものの性質もとよりしかるにあらず、わが観察、推究の力の足ると足らざるとによりてこの別を生ずるのみ。
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)
このように人生は蓋然がいぜん的なものの上に成り立っている。人生においては蓋然的なものが確実なものである。
人生論ノート (新字新仮名) / 三木清(著)
私は偶然と必然の間になお一つの名目を設けてこれを蓋然がいぜんと申します。
妖怪学一斑 (新字新仮名) / 井上円了(著)
蓋然がいぜんの法則です」
墓地の殺人 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
その一を偶然といい、二を蓋然がいぜんといい、三を必然という。必然とは、必ず起こるべき理由ありて起こり、起こるべき原因ありて起こり、十は十ながら、必ずかくあるべしと決定し得るものをいう。
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)