映画の世界にもいつかはまたそうした人が出るであろうという気長い希望をいだいてそうしてそれまでは与えられたる「荒木又右衛門あらきまたえもん」を
映画雑感(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
この人は、荒木又右衛門あらきまたえもん一門の血統で、流石さすがに血筋は争えない。剣を取っては、番部屋第一の名があったもので、年齢は四十五、六、はらも相当に据わった、まず、御書院番士中では錚々そうそうたる人材だ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「御覧なさい、小さな宮本武蔵みやもとむさし荒木又右衛門あらきまたえもんがいますよ。」
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
荒木又右衛門あらきまたえもんが三十余人を相手に奮闘するのを見て理屈抜きにおもしろいと思わない日本人は少ないであろう。いわゆるプロ芸術のねらいどころもここに共通点を持っているように思われる。
映画時代 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)