艶姿えんし)” の例文
艶姿えんしにはなお、瑞々みずみずと垂れるようなものがあったが、廉子ももう聞きわけのない妙齢ではない。女性の三十一であった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鏡の間の壁に嵌めた無数の鏡は、女の艶姿えんし嬌態けうたいを千万倍にして映じ出だした。庭園には女の軽々とした歩みの反響がし始めた。己が晩年にち得た、これ程の楽しい月日は、総て是れ御身の賜ものだ。
復讐 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
と、びた眼をのこして、緋と白との、あざらかな艶姿えんしを、拝殿の蔭へ、消してしまった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)