膨脹ふく)” の例文
この時も唯「フム」と鼻を鳴らした而已のみで更に取合わぬゆえ、生理学上の美人はさなくとも罅壊えみわれそうな両頬りょうきょうをいとど膨脹ふくらして、ツンとして二階を降りる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
顔色青き白雲天窓しらくもあたま膨脹ふくだみて、えりは肩に滅入込めいりこみ、手足は芋殻いもがらのごとき七八歳ななつやつの餓鬼を連れたり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)