胡蝶花しやが)” の例文
いくらかの臭みはあるが眞白な板は見るから爽かな感じである。足もとから谷へ連つて胡蝶花しやがの花がびつしりと咲いて居る。
炭焼のむすめ (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
崖には胡蝶花しやがと熊笹とが見事に繁茂し木犀もくせいと楓の古木の聳えてゐたことを今だに記憶してゐる。
冬の夜がたり (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
しらしらと胡蝶花しやがの葉ひらに降りし花あはれ寂しゑわが心から
『さびし』の伝統 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
坂を登り切つたら流石さすがに息苦し相に胡蝶花しやがの花の疎らな草の中へ荷を卸した。背負子を負ふために殊更小さな綿入のちやんちやんを引つ掛けたので體が何時もより小柄に見えた。
炭焼のむすめ (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
清澄のやまぢをくれば羊齒交り胡蝶花しやがの花さく杉のしげふに
長塚節歌集:2 中 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)