繋累けいるゐ)” の例文
わが臆病なる心は憐憫れんびんの情に打ち勝たれて、余は覚えずそばに倚り、「何故に泣き玉ふか。ところに繋累けいるゐなき外人よそびとは、かへりて力を借し易きこともあらん。」
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
謝せよ、新夫婦に感謝せよ、渠等は社会に対する義務のために懊悩あうなう不快なるあまたの繋累けいるゐに束縛されむとす。
愛と婚姻 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
禅家の大徳の臨終が立派であると云ふのは何よりも繋累けいるゐの無いと云ふ事が根柢になつては居ないでせうか。
産褥の記 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)