うるち)” の例文
武佐寺での尊氏は、油幕を引いた大庭に床几をおき、朝も昼糧ひるがても、うるちに味噌をつけたような物を床几のままでかじっていた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うるち 五石
そこへこの辺の売女ばいただろうか、うるちの粉をまだらに顔へこすったような、しどけない身なりの女が来て、大蔵に何かを渡し、もういいといっても帰らずに
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もとより今朝、木賃でこしらえてくれた貧しいうるち柏巻かしわまきが幾ツかあったにすぎないが、尼はその竹の皮づつみを膝へ抱きこんで、黄色い歯をむき出しに、がつがつ食べた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)