竪川たてかは)” の例文
若旦那を殺した下手人が外にあれば、刄物なんか、隱したければ自分で持つて逃げるか、すぐ前の竪川たてかはに投り込めばすむことです。
本所ほんじよ竪川たてかは深川ふかがは小名木川辺をなぎかはへん川筋かはすぢには荷足船にたりぶねで人を渡す小さな渡場わたしば幾個所いくかしよもある。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
相生町の阿波屋といふのは、御入府以來から竪川たてかは通りの大名主で、今では雜穀問屋だが、間違ひがあれば矢張りお上へ屆出なきやならないんですつてね
隅田川は云ふに及ばず神田のお茶の水本所ほんじよ竪川たてかはを始め市中しちゆうの水流は、最早もはや現代の吾々には昔の人が船宿の桟橋から猪牙船ちよきぶねに乗つて山谷さんやに通ひ柳島やなぎしまに遊び深川ふかがはに戯れたやうな風流を許さず
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「たつた今春松は、嫌がる娘をつれて、竪川たてかはの伯母さんの家へ行くんだと出て行きましたよ」
相生町四丁目、竪川たてかはに臨んで、坂田屋はなか/\の繁昌した酒屋でした。