神気しんき)” の例文
その効験は著しいもので、お豊はそのあくる朝から神気しんきがさわやかになって、七日ほどの後には元の達者なからだに回復した。
半七捕物帳:26 女行者 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あの黄一峯は公孫大嬢こうそんたいじょう剣器けんきのようなものでしたよ。筆墨はあっても、筆墨は見えない。ただ何とも言えない神気しんきが、ただちに心に迫って来るのです。
秋山図 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
本草家峠宗寿軒の煎じた薬湯、別に何の薬というでもありませんが、神気しんきさわやかにして、邪気を払う程度のもの、唇のところへ持って行くと、高価な薬の匂いがプーンとします。
負傷している上に神気しんきつかれ、ほとんど人心地もなかったので、それこそあてなしにヨロヨロと藪の中を逃げ廻っていたが、おのずと裏口の方へ行ったものとみえる。「袴様!」と呼ぶ声がした。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それを飲むと千枝松は俄に神気しんきがさわやかになった。彼は下部にたすけられて行綱の家の前までたどってゆくと、泰親は立ち停まって家のまわりを見廻した。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)