其処には明珍長門家政みょうちんながといえまさ作の甲冑かっちゅうけて錦の小袴を穿き、それに相州行光そうしゅうゆきみつ作の太刀をいた権兵衛政利まさとしが、海の方に向けてしつらえた祭壇の前にひざまずいていた。
海神に祈る (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)