あの世には悩みも恨みもこれあるまじく、父の手を執りて由利どのを追い、共に白玉楼中はくぎょくろうちゅうの人となるが、いまはのきわの喜びに御座候。
といって、いきているうちから伝説化されて、いまは白玉楼中はくぎょくろうちゅうに、清浄におさまられた死者を、今更批判するなど、そんな非議はしたくない。
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
それもその筈です。この物語を聞いた日から三日のちにY——の容態ようたいは急変して遂に白玉楼中はくぎょくろうちゅうの人となってしまったのでした。
壊れたバリコン (新字新仮名) / 海野十三(著)
曽て漢詩の大家何某先生白玉楼中はくぎょくろうちゅうの人となるや葬礼に際して俄に文学博士の学位を授られたる事あり。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)