瓶破かめわり)” の例文
夕暮になって、乗換の新馬を乞い、城下を立ち去ったが、嘗つての瓶破かめわり柴田、鬼柴田の後姿は、悄然しょうぜんたるものがあったであろう。
賤ヶ岳合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
従って、一時は慎みもするが、すぐ以前の鬼柴田、乃至ないし瓶破かめわり柴田に立返ってしまうのであった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、形勢ここにいたっては、秀吉との対立、もはやまぬがれ難しと肚のうちできめこんだものか、焦躁しょうそうの半面に、瓶破かめわり柴田らしい傲岸ごうがん不屈なていをも、わざと示していた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玄蕃允に戒告かいこくした自己のことばの的中を、暗に誇るかのようにいったのは、かつては、瓶破かめわりとよばれ、鬼柴田ともいわれた剛将の声として、それを思う者には、あわれに聞えた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
瓶破かめわり柴田とか、彼自身の上に、若い頃からの剛勇の誉れが高かったせいか、その剛胆無双をもってみずからもゆるす風が常々の起居にもあって、ともかく勝家の日常には、粗暴というか
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)