猜疑深うたぐりぶか)” の例文
『何を話して居たのだらう、の二人は。』と丑松は猜疑深うたぐりぶかい目付をして、二人の様子を怪まずには居られなかつたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「だから、私何だか変だと思うの。田舎で何か悪いことをしてるんじゃないかと思って。」と猜疑深うたぐりぶかい目を見据えた。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
『や?』と猜疑深うたぐりぶかい心で先方さきの様子を推量して見ると、さあ、丑松は斯の校長と一緒に並んで歩くことすら堪へ難い。どうかすると階段を下りる拍子に、二人の肩と肩とが触合すれあふこともある。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
猜疑深うたぐりぶかい叔母は淋しい顔にヒステリー性のみをらした。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)