狭間ひあわい)” の例文
旧字:狹間
両方の家の狭間ひあわいへ通う風が何とも云えないほど涼しいので隣の二階でも裏窓の障子を明け放っているに違いない。喃々なんなんとして続く話声の中に突然
夏すがた (新字新仮名) / 永井荷風(著)
路地はどうかすると横町同様人力車くるまの通れるほど広いものもあれば、土蔵どぞうまたは人家の狭間ひあわいになって人一人やっと通れるかどうかとあやぶまれるものもある。
ものうい稽古唄や物売の声につれて、狭間ひあわいの風が窓から流れ入って畳の上に投げ落した横顔をなでる心地好さ。君江は今こういう時、矢田さんでも誰でもいいから来てくれればいい。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)