独白せりふ)” の例文
旧字:獨白
阪井のクローデアス王の王座は独白せりふをひきたてる関係で客席に近い前舞台の端にあり、そのとなり、つまり舞台に向って斜右はすみぎに王妃の座があり
ハムレット (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
しかも舞台ではシンミリした場面で一同息をのんで声の低い独白せりふまで聞こえてくる。黙黙として、沈静。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
洒落者や阿諛者はひしめき合ってゼ・ボー・エンド・ウイットリング・ペリシュト・イン・ゼ・スロング——」と云いかけたが、急にポープの『髪盗みレープ・オヴ・ゼ・ロック』を止めて『ゴンザーゴ殺し』(ハムレット中の劇中劇)の独白せりふを引き出した。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
その通りにしている、親兄弟にも馬鹿になって来たと思われているが、身に降りかかる火の子は払わなければならぬ、無益な腕立てをして残念千万、というような独白せりふがある。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ねえ熊城君、こういう凄惨な独白せりふは、そもそも何が語らせたのだろうか。どうしてフォスコロの嗜血癖が、残忍な拷問刑具の整列裡では起らずに、美しいビスカヨ湾の自然のなかで生れたのだろうか。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)