犠牲いけにへ)” の例文
旧字:犧牲
善良なる旅人を己れが永遠の呪ひの犠牲いけにへにして底無しの淵に誘ひ込むことをもつて本性となす者なれど、その名称の依つて来るところは、エルムが旅人をさし招く態は
鬼の門 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
その犠牲いけにへが、十分苦しむのを見すまして、最後に飛びかゝる猫のやうに瑠璃子父子が、一日を不安な期待の裡に、苦しみ抜いて、やつと一時逃れの安心に入らうとした間隙に
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
可愛かあいい二人の子を犠牲いけにへにする気で泣き乍ら手放てばなした。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)