牽牛花あさがほ)” の例文
牽牛花あさがほの色は土壤のアルカリ分酸分の多少によつて異つて來る。人の思想の傾向は、食物によつて體が變り、體が變ると同時に變つて來る。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
牽牛花あさがほ大にはやり候よし、近年上方にてもはやり候。去年大坂にて之番附坐下に有之、懸御目申候。ことしのも参候へども此頃見え不申候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
所謂七種は胡枝花はぎすゝきくず敗醤花をみなへし蘭草ふぢばかま牽牛花あさがほ瞿麦なでしこである。わたくしの嘗て引いた蘭の詩二首の一は此七種の詩中より取つたものである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
茲に一の牽牛花あさがほの苗が地を抽いたと假定すると、之に適度の量の不寒不熱の水を與へ、或は淤泥、或は腐魚、或は糠秕、或は燐酸石灰等の肥料を與へ
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
なんぢ何ぞ自ら欺くやと云はぬばかりに刺笑したるが爲に、一青年の心は牽牛花あさがほの苗の只一足に蹂躪されたるが如く、忽然として其の力を失ひ、突如として車を捨てて走るに至つたのである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
これは三十年前のこと也。さて其たね牽牛花あさがほはやるにつき段々人にもらはれ、めつたにやりたれば、此年は其たねつきたり。はやらぬ時はあり。はやる時はなし。晋帥しんすゐ骨相之屯こつさうのじゆんもおもふべし。呵々。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)