然乍しかしなが)” の例文
だから、歴史といふものは日記の手のとゞかない所にあるのだらう、と、今、考へてみたのだが、然乍しかしながら、さう考へると、「現代」そのものが歴史でないと誰が言へる。
たゞの文学 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
然乍しかしながら我々が夢の中の自己を追想する時のやうに、この現実のままではあるが、殆んど気化したひとつの自己を思ひださねばならないのとはいくらか違つてゐるのである。