無性ぶしやう)” の例文
掃除好きでもない代り、また決して無性ぶしやうでもない。洗濯も怠らず針仕事や編物も嫌ひではないと云ふやうな奧さんである。
或夜 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
無性ぶしやう! 無性! 無性屋さん……」と叫んだかと思ふと、いきなりみち子は僕の背中をドンと打つた。
晩秋 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
無性ぶしやうさやかき起されし春の雨
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
別に祖母の言を守つたわけではないのだが、寧ろ無性ぶしやうの業なのだつたが、自分は祖母のその言葉を思ひ出して、苦笑しながら、入浴出来ない憂さも忘れて昼寝の夢に耽つた。
祖母の教訓 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)