“濫費（むだづかい）” の例文
時には富豪のように散じ、時には貧者のように貯えて、愛惜（おしみ）と濫費（むだづかい）の別が見えないのであります。
仏教人生読本 (新字新仮名) ／ 岡本かの子(著)
自然がかくばかり細かな用意をもって、倹約（しまつ）して物を使っているのに、この木の芽の塩っぱい匂は、あまりに濫費（むだづかい）に過ぎ、あまりに一人よがりに過ぎはしないだろうか。
艸木虫魚 (新字新仮名) ／ 薄田泣菫(著)
誰れが行こうが脱（ぬ）けようが、それもどうでもよかった。しかし一人のお絹を連中から喰（は）みだしてはならなかった。お絹なしには芝居見物はむしろ無意味で、怠屈で、金の濫費（むだづかい）であった。
挿話 (新字新仮名) ／ 徳田秋声(著)