澁紙しぶがみ)” の例文
新字:渋紙
澁紙しぶがみ色にけてさへゐなければ、顏立も尋常ですが、手足と顏の外は、寸地も白い皮膚のない大刺青ほりものの持主と後でわかりました。
松藏は膝に双手もろてを置いたまゝ、ボロボロと涙をこぼすのです。日光と土とに荒された、澁紙しぶがみ色の頬を傳はつて、その涙は胸から膝小僧まで落ちるのです。
けてゐるのはその澁紙しぶがみ色にけた皮膚のせゐで、實は三十五六をあまり越してゐないかもわかりません。
其處は三疊ばかりの板敷の納戸で、床板には何の變りもありませんが、隅に片寄せた澁紙しぶがみをほぐすと、往來や、庭にあつたやうな土が、ザラザラするほど疊込んであります。
五十前後の鬼が霍亂くわくらんを患つたやうな惡相の武家、眼も鼻も口も大きい上に、澁紙しぶがみ色の皮膚、山のやうな兩肩、身扮みなりも、腰の物も、代表型テイピカル淺黄あさぎ裏のくせに、聲だけは妙に物優しく