渡頭わたしば)” の例文
その声を聞くと、それは日中、渡頭わたしばを徘徊していたところの、下野しもつけの足利の貧乏にして豪傑なる絵師田山白雲に相違ありません。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
道傍に並ぶ柱燈人造麝香じんぞうじゃこうの広告なりと聞きてはますます嬉しからず。渡頭わたしばに下り立ちて船に上る。千住せんじゅよりの小蒸気けたゝましき笛ならして過ぐれば余波ふなばたをあおる事少時。
半日ある記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そして、渡頭わたしばの船頭小屋の傍を往復するたびに、白い衣服の女の事を思いだして恐れた。
雪女 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
道中唯一の旅行券を渡頭わたしばで、いい気になって居合を抜いた瞬間に、何者にか抜き取られてしまっている。ちぇッ。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
田山白雲は北上川の渡頭わたしばに立って、渡し舟の出るのを待兼ねている。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)