海面うなも)” の例文
海岸開きの花火は、原色に澄切った蒼空あおぞらの中に、ぽかり、ぽかりと、夢のような一かたまりずつの煙りを残して海面うなもに流れる。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
ここから一里ほどもない駿河湾の静浦、江の浦のあたりまでも、もう一面な低い雲におおわれて、たった今まで、陽のあたっていた海面うなもが、一尺の水面も見えなくなっていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其処そこへ立つと、海面うなもから吹渡る潮風が、まともにあたって、真夏の夜だというのに、ウソ寒くさえ感じられた。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
沖には、早打ちを仕掛けた打上げ船が、ゆたりゆたりと、光り輝く海面うなもただよい、早くも夏に貪婪どんらんな河童共の頭が、見えつ隠れつ、その船のあたりに泳ぎ寄っていた。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)