浜茄子はまなす)” の例文
九月の末、にはかに思ひ立ちて、吟心愁を蔵して一人北海に遊びぬ。みちすがら、下河原沼しもかはらぬまの暁風、野辺地のへぢの浦の汐風、浜茄子はまなすの香など、皆この古帽に沁みて名残をとゞめぬ。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
浜茄子はまなすの花の濃い紅色が、海の碧さを背景に点点と咲いている。腰を降して私は膝を組んだ。
浜茄子はまなすの丘をあとにし旅つゞく
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)