泥鰌どぜう)” の例文
日本橋の茅場町に錦とかいふ鰻屋があるさうで、そこの家では鰻や泥鰌どぜうのほかに泥亀すつぽんの料理も食はせるので、なか/\繁昌するといふことです。
魚妖 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
簡單な食事でも滿足してゐる私達の家では、たまに手造りの柳川やながはなぞが食卓に上るのを馳走の時とする。泥鰌どぜうは夏のものだが、私はあれを好む。年をとるにつれて殊にさうなつた。
短夜の頃 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
泥鰌どぜう見たいなことを言ふなよ、可哀想に娘は泣いてるぢやないか」
小幡の發議で更に屋敷内の井戸をさらはせたが、深い井戸の底からは赤い泥鰌どぜうが一匹浮び出て大勢を珍しがらせただけで、これも骨折損に終つた。
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)