沮洳しょじょ)” の例文
葭原、大平おおでらを過ぎて、二股から一里許りの沼池に着く。元来沮洳しょじょの地で、水芭蕉や座禅草など生えていたが、今は道が少し上の方へつけ替えられた。
白馬岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
武蔵野はもと沼沢沮洳しょじょたる荒野原で、井戸を掘れば、汚水にあらざれば満潮干潮をほしいままにする海水が湧き出し、すこぶる清浄な水に乏しかった。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
沢ニ沿ヒ沮洳しょじょノ間ヲ往クコト数里ニシテ鹿島台かしまだいニ飯ス。三本木川ヲ渡ル。田野ひらケ黄雲天ニ連レリ。ソノ風害ヲ被ルコト白川前後ノ甚シキガ如クニ至ラズ。我心すこぶる降ル。晡後ほご県ニ入ル。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)