汀石みぎいし)” の例文
汀石みぎいしは根入りが深く、池のむこう岸は、水のきらめきがそれと暗示するだけで、曖昧に草のなかに消え、水と空がいっしょになって
西林図 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
道益は鉄砲を杖にして縁端に立ち、池の汀のほうを透してみると、見ン事、射ち当てたとみえ、貧郷士は汀石みぎいしの露草の間にあおのけに倒れている。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
汀石みぎいしの控えにしたあじさいが露もしとどな風情を見せていたものだったが、日本くさいものは、のこらず消えて無くなり、アメリカ紫式部、アメリカン・デイジィ、マリゴールド
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
飛瀑障ひばくざわりというのか、池のむこうの筋落すじおちの小滝を楓の真木まぎが一本斜めに切るように滝壺のほうへ枝をのべている。萩ノ家というだけあって、庭いちめん、汀石みぎいしの控えにまで萩を植えてある。
ユモレスク (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
汀石みぎいしの控えに、うってつけな、赤斑あかふの霧島なんかもございますが
蝶の絵 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)